小野正嗣

文学とは一方的に与えるもの
第152回芥川賞小野正嗣受賞のことば全文『九年前の祈り』（小野正嗣著）

そんなある日、さなえは9年前ともにカナダを旅行した歳上の女性・みっちゃん姉の息子が病気で入院しているとの知らせを受け、見舞いに行くことにしました。夜神楽（『新潮』1997年5月号）• その後は、東大の大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得退学。そうでしょうね。

この場を借りて感謝の思いを伝えさせていただきたいと思います。

当時まだ若く未婚だったさなえには理解できていなかったが、みっちゃん姉はやはり障害を持つ息子の子育てのことで苦労していたのだった。さらに、フランスに留学中に書いた「水に埋もれる墓」で、2001年に朝日新人文学賞を受賞されています。歪なかたちをした家族。

書き手はみんな、いいものを書きたいという気持ちしかない。両親も僕も最期に立ち会えたことが不幸中の幸いでした」いい兄弟ですね。

ですからあくまで推測というかたちになりますが、私自身の意見を言えば、「小野さんのファッションに藤田嗣治の影響があった」可能性は高いと見ています。

本書は前述した全5章から構成されており、200ページに及ぶ考察が記されたボリュームのある1冊です。、『にぎやかな湾に背負われた船』で第15回受賞。