結果としてグレイスは、過去の供述に束縛されずにすべてを語り直せることになったと同時に、彼女の記憶はジョーダンとの相互関係の中で新たな脚色が施されることにもなった。 作中のメアリーはグレイスの昔の奉公先の先輩格の女中であり、悲惨な最期を遂げた。 彼女は、聞き手にが喜ぶような話に変えて、話をする事で、自分の生きがいを感じていると書く。
4クビになるまで、「グレイズ・アナトミー」と米ABC局のすべての番組の視聴とSNSのフォローなどをボイコットするよう呼び掛けている。 その後、メリーは、様子がおかしくなり、妊娠が発覚する。
カナダを代表する作家マーガレット・アトウッド(一九三九年生まれ)の長篇小説『またの名をグレイス』(原書刊行一九九六年)は、それに対する一個の答えである。 一方、マクダ-モットは、グレイスに唆されての犯行だと証言。
13当時のカナダの状況、人々の考え方などが細かく書いてあるので、楽しく読めます。 その手紙を聞いた植物人間状態のジョーダン医師は、グレイスと呟く。 グレイスは、弁護士に言われた様に自白したため、供述は、真実ではないとジョーダン医師に告げる。
6冷酷な女悪魔だとか、身の危険を感じて、仕方なく悪党に従った罪のない犠牲者だとか、あまりに無知なため正しい行動がとれなかったとか、私を絞首刑にするのは司法による殺人だとか、私は動物が好きだとか、艶のある顔をしたすごい美人だとか、青い目をしているとか、緑の目をしているとか、髪の毛は鳶色だとか、茶色だとか、背が高いとか、あるいは平均以上の高さではないとか……。
16さまざまな話法と語りに満ちた全十五章(計五十三節)の中心はグレイスの独白であり、アイルランドでの生い立ちから、移民、女中としての職歴を積んで事件に到るまでが語られる。 誰と結婚しても同じだよな……と思うと同時に、グレイスの人生に対する絶望も理解できるような気がする。
9しかし何と言っても作者はアトウッド。 ジェイミーは、グレイスの悲惨な過去を聞くのが好きであり、この行動は、彼女にジョーダン医師を思い出させる。
17これを謎としたミステリーのような犯罪小説としても面白い。 アトウッドは作中のグレイスを意外な人物と再会させ、幸せな後半生をプレゼントする。 しかしその船旅の途中で、母が病死。
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