オギュスタン・ベルクの「空間の日本文化」(ちくま学芸文庫)に載っている話ですが、60年代以前の日本の戦争映画で、敵襲の危険が迫る部隊で軍医が看護婦に後方へ退くように命令すると、看護婦は従う気配を見せず、理由をただす軍医に、ほんのしばらくの沈黙ののち、突然、看護婦は軍医から目をそむけて「好きです」と言うのだそうです。 「翻訳 通信」サイトの「名訳」ページで紹介している翻訳家もこの分野の人たちだ。 という話だろうと思います。
「先駆者の苦悩」は、自 身の文章からも明らかである。 しかし、お勢の存在が、内海文三の態度を複雑にしている。 (『浮雲』より引用) これは、文三が免職になったことを知らされたときの、お政の言葉です。
8このようなルビをみると、以前に同時通 訳者から聞いた話を思い出す。
いけ年を 仕 ( つかまつっ )てもとかく人 真似 ( まね )は 輟 ( や )められぬもの、 況 ( まし )てや小供という 中 ( うち )にもお勢は 根生 ( ねおい )の 軽躁者 ( おいそれもの )なれば 尚更 ( なおさら )、 忽 ( たちまち )その娘に 薫陶 ( かぶ )れて、 起居挙動 ( たちいふるまい )から物の言いざままでそれに似せ、急に 三味線 ( しゃみせん )を 擲却 ( ほうりだ )して、 唐机 ( とうづくえ )の上に 孔雀 ( くじゃく )の羽を押立る。
例6 「間違いない。 繰り返しになるが、以上はいずれも実績があり、定評がある翻訳家の作品である。