よって、この点に裁判所が口を出し過ぎるということは、手当は通常金額が一律であるのに対し、基本給は各人の人事考課などにより異なるのことから、これを突き詰めると裁判所が賃金設定や人事考課をする話になってしまい、企業の人事権が認められなくなってしまうので裁判所としても、よほど不合理という場合でない限りは踏み込みづらいのです。 日本郵便事件では非正規と正規の諸手当の差が認められず 前述の2件の判決の2日後、2020年10月15日に、同一労働同一賃金に関する新たな最高裁判決が3件出ました。
当たり前すぎる話なのですが、打ち出の小鎚はありません。 定年後は定年前より給与水準が下がっても問題ないといった単純な判断ではないということですね。
7本件高裁判決は、賞与であっても不合理な待遇差は違法と判断される可能性があることを現実的に認知させたものであり、各企業における人事労務政策を見直す契機となったものといえます。 今回のケースは、業務や責任の程度、正規社員への転換制度の有無などがポイントとなり、待遇格差は不合理ではないとの判断でしたが、全ての非正規に賞与や退職金が必要ないとしたわけではなく、各企業などにおける賞与、退職金の性質や支給目的を踏まえて検討すべきだと示しています。
3第1審の判断内容において、企業側の主張がほぼ認められている背景には、契約社員Bと比較対象とされる正社員の範囲が、「売店業務に従事する正社員のみならず、広く被告の正社員一般」と解されたことにあります。 では、次に各種手当等の判決について確認しましょう。
153 労働組合との対話 労働組合との交渉状況は、上記4要素4「その他の事情」として検討されるものですが、そもそも労働条件は労使自治で決定するのが原則であり、前記補足意見でも「労使交渉等を踏まえて,賃金体系全体を見据えた制度設計がされるのが通例」とされているとおり、労使交渉は単なる一要素ではなく、まず不合理性判断の枠組みを超えた根源的な重要性を持つものです。 最高裁が5件の判決で採用した共通の枠組みは、まず(1)「正社員向けの手当や賞与・退職金などの待遇の性質・目的・趣旨が、非正規社員にどの程度、当てはまるか」を判断する。
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